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労災認定で終わりではない! 民事訴訟に備えた企業防衛策

雇用している社員やパートさん、アルバイトさんが、仕事中や通勤途中に起きた出来事に起因したケガ・病気・障害、あるいは死亡した場合に、保険給付を行う制度として、労災保険(労働者災害補償保険)というものがあります。

労災保険は労働者を一人でも雇用している会社には加入が義務付けられており、その保険料の全額を事業主が負担している保険です。

要件を満たしていれば従業員の方は労災認定を受けて

  • 療養(補償)給付
  • 休業(補償)給付
  • 障害(補償)給付
  • 遺族(補償)給付
  • 介護(補償)給付

等々、各種の給付を受け取ることができます。

<厚生労働省 労働基準情報:労災補償>
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/pamphlet_faq.html

それでは自社の従業員が労災認定を受けて、各種給付を受け取ることが出来れば、
会社として何もしなくてよいのでしょうか?

ケースバイケースですが、決してそんなことはありません。

従業員から損害賠償請求を受ける可能性がある

会社に落ち度があった場合、従業員が労災保険(労働者災害補償保険)から支払いを受けたとしても、それとは別に”損害賠償”を会社に請求してくる可能性があります。

実際の裁判事例でも、労災認定により会社が従業員から損害賠償の請求を受け、裁判所で会社に賠償が命じられるケースがあるのです。

裁判事例として、例えば、

  • 従業員が患ったうつ病がパワハラによるものだった
  • 従業員の死が過重労働によるものだった

等々、上記事例では裁判所から会社へ賠償命令の判決が下されています。

なぜ損害賠償(慰謝料)を請求される?

労災認定されれば従業員は労災保険(労働者災害補償保険)から各種給付を受け取ることが出来るのに、落ち度があったとはいえ、さらに会社が民事訴訟を起こされる(損害賠償を請求される)のはなぜでしょうか。

それは、労災保険では”慰謝料”が支払われないからです。労災事故の”慰謝料”とは、会社の落ち度で労災事故が起きたときに、従業員の「精神的苦痛」に対して支払われる金銭です。

又、労災保険の休業補償では、1日につき給付基礎日額の80%(休業(補償)給付=60%+休業特別支給金=20%)が支給されますが、会社に落ち度があった場合は残りの20%を請求されれば、会社が支払う必要も出てきます。

損害賠償を請求されない企業としての防衛策

しかし労災認定がされた場合に、どんな時でも会社に賠償責任がある訳ではありません。

労災認定がされても、会社に注意義務違反や安全配慮義務違反がないときは、会社に賠償責任はないのです。

ですから、会社として日頃から

  • 安全衛生管理体制を整える
  • 安全衛生教育を実施する
  • 危険防止策を設置する
  • 従業員の健康面、精神面のケア

等々、注意義務や安全配慮義務を怠らないことが企業としての防衛策として大切になります。

民事訴訟を起こされた場合はどうすればいいか

それでも実際に従業員に民事訴訟を起こされて損害賠償を請求された場合は、従業員側にも落ち度がないかを確認する必要が出てきます。

もし会社側にも従業員側にも落ち度があった場合は過失相殺の主張が可能となるためです。

そして民事訴訟となった場合は示談による解決を目指すことが基本になるでしょう。

自社のケースが、どのケースにあてはまるのか、

  • 会社が安全配慮義務違反になってしまうのか
  • 従業員にも落ち度があると判断されるのか

詳しいことを知りたい!という場合は、下記フォームよりお問い合わせください。

お待ちしております。

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