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労働条件の変更をしたい! 不利益変更の注意点

事業をしていると予期せぬことが起きたりします。

それに伴い従業員の労働条件を見直さなければならないなんてこともあるでしょう。

時には従業員の賃金の引き下げを検討しなければならない場面に出くわすこともあると思います。

今回はそんな労働条件の変更(労働条件の不利益変更)を行う上で、気をつけるべきポイント、注意点について紹介していきます。

不利益変更の方法

会社が従業員の賃金や労働条件(労働時間や福利厚生など)を不利益な方向に変更することを不利益変更と言います。

不利益変更は以下の方法によって行われます。

  • 従業員に対して個別に同意を得て不利益変更を行う
  • 就業規則を変更することによって労働条件の不利益変更を行う
  • 労働組合との間で労働協約を締結して労働条件の不利益変更を行う
  • 人事考課に基づいて等級の引き下げや降格を行い従業員の給与を減額する

原則:個別の同意を得る際の注意点

まず原則として、「労働条件の不利益変更は従業員の個別の同意により行わなければならない」と法律で決められています。

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労働契約法第九条

(就業規則による労働契約の内容の変更)

使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

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そして従業員の個別の同意は”書面で”取得する必要があります。(不利益変更について従業員から口頭で同意をもらっていたという主張は、裁判所ではほとんど認められません。)

注意点として、同意書さえ書面で取得していれば問題ない、という訳ではありません。

もし訴訟問題になったとき、裁判所は、

  • 労働条件が変更になりどの程度の不利益が生じているか
  • 同意書取得時に不利益変更に関する内容が十分に説明されているか

これらを総合的にみて同意の有無を判断します。不利益変更の個別の同意を得る際には、必ず、

  • なぜ不利益変更をする必要があるのか
  • 不利益変更の内容をしっかり説明する

これらをしっかり1対1の面談をする形で伝え、やり取りの記録をとり、書面で同意を取得しましょう。

例外:個別の同意を必要としない場合

原則として不利益変更は、従業員ごとに個別の同意を得て行うと説明してきましたが、例外として、

  • 就業規則を変更することによって従業員全体の労働条件の不利益変更を行う
  • 労働組合との間で労働協約を締結して従業員全体の労働条件の不利益変更を行う
  • 人事考課に基づいて等級の引き下げや降格を行い従業員の給与を減額する

上記のような場合は、個別の同意を得ずに不利益変更を行うことができます。

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労働契約法第十条

(就業規則による労働契約の内容の変更)

使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、

当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

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ただし、後々訴訟問題へと発展した場合は、

  • 就業規則の変更に合理性が認められるか
  • 人事考課やその結果に基づく減給が適正であったかどうか

このあたりが判断基準となってきます。

又、不利益変更の遡及適用は、従業員の個別の同意がない限りできませんので注意が必要です。

※遡及適用とは、改訂日や締結日を行った日以前に遡って不利益変更の効力を発生させることです。

以上、労働条件の変更をする際の不利益変更の注意点について紹介してきました。

  • 自社の労働条件の変更が不利益変更にあたるのか
  • 従業員にどのように伝えればいいのか
  • 訴訟になってしまった!どうすればいい?

詳しいことを知りたい場合は下記フォームよりお問い合わせください。

お待ちしております。

 

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